脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管が詰まり、血流が途絶えることによって脳細胞が死んでしまう病気です。
片側の手足の麻痺や言語障害、顔の片側の筋肉が下がるなどの症状が見られます。
脳梗塞の治療は時間との戦いであり、早期の対応が必要です。
治療法には、血栓溶解療法や血管内治療、
開頭手術(血栓除去、バイパス術など)、リハビリテーションがあります。
脳梗塞には
・ラクナ梗塞:小型の脳梗塞の総称
・心原性脳梗塞:心臓から血栓が飛んできて詰まるもの
・アテローム性脳梗塞:動脈硬化により血管が詰まるもの
の三種類があります。
ラクナ梗塞は軽症脳梗塞であり投薬治療のみで社会復帰可能な場合が多いです。
心原性脳梗塞は大きな血栓により大きな動脈が詰まる可能性があり、重症化や再発が多いです。
発症早期に治療介入することで劇的に改善する場合があります。
※つまり、脳梗塞は急性期に受診することが大きく予後の改善につながります。
顔のゆがみ、言葉が出てこない、呂律が回らない、手や足に力が入らない又は痺れる、体が傾く、
目眩がする、視界の一部が見えにくくなった等は脳梗塞をはじめ脳卒中の症状の代表例です。
気になる症状があればすぐに受診をしてください。
この方は〜を主訴に当院を受診。発症初期での来院であり、
大部分がまだ可逆性の虚血状態(不可逆性の虚血状態になると白く映ります。)ではありましたが、
最重症の脳梗塞で意識は全くありません(NIHSS score40)でした。左の中大脳動脈が詰まっていました。


すぐに血栓を摘出する手術を行いました。


術後の検査で血管は再開通し、大部分の脳は虚血状態から改善しており、症状もほぼ無症状となりました。
この時期を過ぎてしまうと基本的には症状悪化予防の保存的治療がメインになります。
アテローム性の脳梗塞でも症状悪化予防の保存的治療がメインとなりますが、
大きな血管が詰まりかかっている場合には頭皮の血管を用いたバイパス手術をして症状悪化予防の手術を行うことがあります。
バイパス手術の模式図

頭皮の血管を採取して、狭窄した脳血管に血流を送り込みます。
実際の一例



中大脳動脈が狭窄しており、不可逆性の脳虚血(白い部分)は一部ですが、
より大きな範囲が脳虚血(青い部分)となっており、放っておくとより大きな範囲が脳梗塞になるリスクがあります。
術中初見では中大脳動脈に高度の動脈硬化性変化を認めていました。
動脈硬化の比較的少ない部分に頭皮の血管を用いてバイパスを行い、血流を補います。
術後の画像

※後方循環に対するバイパス術を行なった一例



後方循環に多発する脳梗塞で来院(上図 : 黄色い丸)、両側の椎骨動脈が描出不良(上図 : 赤い丸)、
血流低下(下図 : 黄色い丸)保存的過料に抵抗性であり、STA-SCAバイパス施行しました。

