くも膜下出血
くも膜下出血は、
1/3の方は死亡、1/3の方は後遺症あり、1/3の方のみ社会復帰
となる危険性が高い病態です。

突然死にならず病院に運ばれてきた場合は、このイラストのように動脈瘤にかさぶた(緑丸)ができて
一時止血されている状態ですが、このかさぶたは容易に再出血を引き起こします。

そのため、まずはクリッピングで再出血の予防を行うことが最重要となります。
また術後二週間は血管攣縮期と呼ばれ、脳梗塞を起こすリスクが高く、
再出血の予防を行ったとしても予後の悪化を招く可能性があります。
これを防ぐには手術中にくも膜下出血を洗浄しなるべく除去しておくことが有効とされています。(以下引用文献)
with Aggressive Cisternal Clot Removal and Nicardipine - PubMed
当院では積極的にくも膜下出血の洗浄を行い、術後の血管攣縮を予防できています。
くも膜下出血(白い部分)が大部分取り除かれている画像です。
(左:術前 右:術後)


未破裂の治療リスクの低いものは事前に予防手術を行っておくことが重要です。
くも膜下出血代表症例
(脳底動脈巨大動脈瘤(Dolicoectasic aneurysm)破裂によるくも膜下出血 50代男性)


こちらの症例では、脳底動脈そのものが動脈瘤となって拡張しているため、通常の治療でした。
まずは前述の血腫洗浄と破裂点(赤丸)を局所的にクリッピングしています。




術後破裂点(赤丸)は血栓化し、バイパス(矢印)により脳底動脈の血流は保たれ、
一過性動眼神経麻痺以外に手術による合併症はなく、良好な術後経過となりました。